「シンプルはパワフル」ー
ヨガ講師・ジョーダン・ブルーム先生から学んだ、大きなレッスン。
先日、ジョーダンの「姿勢改善シリーズ〜肩こりの方へ〜」というワークショップを通訳させてもらった。
アーサナではなく敢えてシンプルな、「良い姿勢とは?」についてとことん考察するという充実の3時間だった。長年の豊富な経験を持つヨガ講師であるからこそ、一層説得力を持って基本に立ち返る重要性を説くことが出来るのだ。
彼は言う。
「大切なことはシンプルだ」と。
どんな複雑なヨガアーサナをマスターしても、現代人の私たちが日々その時間のほとんどを過ごす姿勢は、座る、寝る、立つ、といった基本の姿勢。
その’アーサナ’(姿勢)のマスター、意識の構築、無くしては、2足歩行の人間の宿命は避けられない。。。そして身体的な姿勢の改善は、腰痛・肩こりといったその’宿命’から我々を救うだけでなく、快適で安定した心の姿勢へと導いてくれるということ。
彼の指導する解剖学に基づいた、正しい立ち方、座り方、横たわり方のテクニックは正にシンプルで、誰もが ’今ここから’ 始められるところに意義がある。
でも特筆すべきは彼のクラス運び、伝え方にあった。
端くれながらも同じいちヨガ講師として、その手法に終止目を見張らずには入られなかった。
時に、いや多くの場合、大事なことと分かっていても、シンプルなことをただシンプルに伝えるのは難しい。
ヨガに関わらず指導に携わる人ならば、誰もが葛藤する所ではないだろうか...
'What you think they need vs. What you know they want/crave for."
シンプルであり続けることは何より勇気がいる。
信念・情熱という確固たる後ろ盾がないと。ジョーダンのように。
心が折れることだってある。
まるで言い訳でもするように、余計な修飾語や情報が増えていき、結局相手にポイントが伝わらない。
相手の欲求を満たしてあげることも、指導者として必要かもしれない。
でも、指導者だからこそ、本人では気づきづらい実はシンプルで一番大事なメッセージを言い’続けて’あげることができるのかもしれない。
1回言って伝わるなんて、そんなラッキーなことは思っちゃいけない。
だから、何回も、何回も。 - それが指導者の情熱・愛なのかもしれない。
でも飽きないように、面白く。 - それが指導者の腕なのかもしれない。
そんなジョーダンのWSを終えた帰り道、通訳の緊張から解放されると同時に全身に染み渡っていく’ジョーダンテクニック’を体感する。
電車を待つ列で、電車の中で立ちながら、夕飯の席で、’姿勢’を意識する。
そしてその晩、深夜の寝返り。彼のインストラクションを夢うつつにたどりながら、寝相を直している自分に気づく。
何とパワフルなメッセージだったのだろう。
伝える、とはこういうことなんだな。
シンプルであること。
それは美しい。
潔く、勇敢な美しさ。
明快。
だから伝わる。胸を打つ。
何より力強い。
自然のように。
大切なことをシンプルに。
そして繰り返し、繰り返し。
何度だって続けていく。